タイピングの最適化
タイピングの最適化を車のレースに例えるなら、難しいコーナーを素早く曲がる技術であると思ってください。 一番ロスの少ないライン取りをして、結果的に一番速くコーナーを突破する方法です。 特に最適化は、ワーストスピード(ベース速度)を上げるのに、大きな効果があります。
最適化をする理由ですが、通常のキーボードは、キー配列が右下から左上へと流れるように作られています。(左側を見れば良く分かります。) 本来人間の手は、外側に向けるより内側に向けた方が楽なので、 右手に関しては問題ありません。
しかし、左手になると外側に向けて流れるようになっているため、 左手には負担がかかる構造になっている事が分かります。 エルゴノミクスデザインのキーボードが、途中で分割して「ハの字型」になっているのはこのためです。
もし「Vの字型」で打つように出来ていたら、明らかに手首に負担がかかり打ちづらくなってしまいます。ですので、内側に向けた方が楽に打てるようになります。
担当指運を変える最適化
まずは、ローマ字入力での最適化例をいくつかご紹介します。
◆「ぶらぶら」は左手でbを打つのではなく、右手を使ってbを打つ。
左手で打つのに比べると、明らかに右手の方が効率的です。
◆「で」は「中,中」では無く、「人,中」を使う。
こうすると、「です」がより速く打てるようになります。
◆「y」は右手だけではなく左手を使って「y」を打つ。
「myu,pyu」などの単語で、右手だけで打つよりも速く打てます。
◆「ぬ(nu)」や「む(mu)」は「人,中」で打つ。
人差し指で続けて打つよりも、2本の指を使った方が効率が良いです。
これが代表的な最適化の一例ですが、 一本の指だけで担当するよりも、二本で担当した方が、当然速く打てるようになります。
指の移動量を考えれば、「y」を左手。「b」を右手で打つ理由も何となく分かるかと思います。「牛乳」という単語を打つときに、左手の人差し指を使うと、右手だけで打つより速く打てます。
タイピングの最適化を、コーナーを素早く技術であると例えたのは、この指の移動量のムダを出来るだけ少なくすると言う意味です。 最終的に指の移動量が少ない分、ホームポジション通り打つのに比べて、速く打てるようになります。
かな入力での最適化
次はかな入力での最適化の例です。ローマ字入力で説明した方法も応用出来ます。
◆「んな」は人差し指だけで打つのではなく、左手の人差し指、もしくは「左人,左中」と打つ。
「みんな」を右手人差し指だけではなく「右人、左人、右中」と最適化し、 「そんなこんな」の場合「んな」を「右人,右中」と打てば、同じ人差し指で続けて打つよりも、速く打てるようになります。 かな入力では他にも同じようなケースが多いので、この最適化が非常に重要になってきます。
◆「そう」は「中,人」「中,中」では無く、「人,中」と打つ。
「そう」と言う文字を打つ場合、(ローマ字入力ではc4) ホームポジション通りだと「そ」は中指、「う」は人差し指になっています。 もし「そ」を中指で押してしまうと、「う」は手首を外側へ向けない限り、人差し指で打つ事が出来ません。 これは人間工学的にも、かなり無理のある打ち方になってしまいます。中指だけで打つにしても、移動量によるロスが大きくなってしまいます。
そこで、「そ」を人差し指で打ってみてください。 すると手首を動かすことなく自然に「う」中指で打つ事が出来るようになります。 どの打ち方が一番楽かと聞かれれば、当然「そ」を人差し指で打つ方法になるはずです。
◆右手小指で担当するキーは、他の指を全て駆使する。
かな入力では通常、右手小指で12個のキーを担当することになっています。 しかし、小指だけで12個を担当すると言うのは、負担がかかるのが目に見えています。 そのため、この部分は既に最適化をしている方もいるかと思います。
例えば「わ」を小指で打ってしまったら、「ー」を打つのに大きく手を移動させないといけないので、 その分大きなロスとなりますし、速く打つのも難しいです。「ボール」と言うワードなら、 小指で全て打つよりも、「中,中,薬,人(親)」と打てば、小指だけで打つよりも速く打てるようになります。
この他のケースとして、「゛」や「゜」、「ぼ、ぽ」「べ、ぺ」なども、 最終的な指の移動量のロスを考えれば、小指だけを使うより、中指や薬指を使った方が効率的になります。
小指だけと言う考えにとらわれていては、こういう発想は出来ません。 最適化というのは、固定概念にとらわれない柔軟な発想も必要となります。
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